7.月命日

気づけばひと月が経った。
葬儀後、私は自宅に戻りいつもと同じ育児が中心の暮らしをしている。
しばらく子供の幼稚園を休ませていたので、戻ってからはバタバタでそれこそ悲しむ間もないくらいだった。

母が病に倒れたこと、
それでも始めは笑顔だったこと、
面会にいくたびに弱っていくこと、
身の回りのことがだんだんできなくなっていくこと、
「写真がないと困るでしょ?」と母から遺影撮影を頼まれたこと、
だんだん会話もままならなくなっていったこと、
生きているのに手も足も氷のように冷たくなっていったこと、
呼吸はあるのに声をかけても反応がなくなったこと、
呼吸も心臓も止まり、医師に臨終を告げられたこと、
そして、すごくすごく穏やかな表情をしていたこと。

実はあれは夢だったんじゃないか?って錯覚してしまう。
でも確かに現実で、私の母の姿はどこにもない。
意外と大丈夫なのかもしれない、と思っていたのに今日はボロボロと涙が出る。

そんなこともあるよね。
でもしっかりしないとな。私もお母さんなんだもの。